■ 鎌倉・御霊神社 例祭/面掛(めんかけ)行列
湘南鎌倉の江ノ電「長谷駅」の近く、鎌倉坂の下にある「御霊(ごりょう)神社(別名・権五郎神社)」は、平安時代、この辺りを領地としていた 鎌倉権五郎景政 (景正とも書かれている)を、祭神として祀っているとされているが、正確な起源はよく分かっていない。
長谷駅から極楽寺方面へ向う道の途中、御霊神社参道入口の鳥居横に、江戸時代から看板を揚げている名物の力餅屋があり、さらに参道を横切るようにして走っている江ノ電の線路を越えると、うっ蒼と茂る林の中に社殿が見えてくる。
長谷駅から極楽寺方面へ向う道の途中、御霊神社参道入口の鳥居横に、江戸時代から看板を揚げている名物の力餅屋があり、さらに参道を横切るようにして走っている江ノ電の線路を越えると、うっ蒼と茂る林の中に社殿が見えてくる。
境内に立つ説明板によると、「御霊神社はその昔鎌倉近辺には、大庭・梶原・長尾・村岡・鎌倉という平氏五家があり、これら五家の祖を祀る神社として五霊神社が建てられ、これが御霊神社となり、祭神もいつしか武勇で名高い領主の鎌倉権五郎景政公一柱だけを祀るようになった」とある。
さらに「 鎌倉権五郎景政(かまくらごんごろうかげまさ) 」の命日が九月十八日で、この例祭日には昔から「面掛け行列」という珍しい行事があります。 これは、伎楽や舞楽・田楽などに使われる特異な面を十人衆がつけ、古いいでたちで街の中をねり歩く県指定の文化財です」と書かれている。
さらに「 鎌倉権五郎景政(かまくらごんごろうかげまさ) 」の命日が九月十八日で、この例祭日には昔から「面掛け行列」という珍しい行事があります。 これは、伎楽や舞楽・田楽などに使われる特異な面を十人衆がつけ、古いいでたちで街の中をねり歩く県指定の文化財です」と書かれている。
■ 「湯花神楽」

大きな釜にたぎらせたお湯で、祓いと吉凶を占う湯立の神事をともなう神楽で、かつては鶴岡八幡宮の旧神職によって演じられたことから、「鎌倉神楽」とも言われている。
「汐神楽」、「湯神楽」などと呼ばれているものも、内容はほとんど同じで、三浦半島から鎌倉周辺にかけての神社でよく行われている。

御霊神社の神楽は、4人の神官により演じられ、演目ごとに一人づつ交代で舞い、他の三人が太鼓、横笛、大拍子の楽器をそれぞれうけもつ。
演目は前段(神招きの神楽)四座と後段(神人享楽の神楽)四座に分かれていて、神楽を始める前に、これから舞う演目の簡単な説明がされる。
[ 演 目 ]

右手に鈴、左手に洗米を盛った扇を持ち、円形に舞った後、四方に洗米を撒き、悪しき者(悪霊や災いを起こす者)が、米を拾って食べている間に、神聖な神楽を邪魔されずに祓い清めを終えるようにという意味合いがあるらしい。
2.御祓(はらえ)
神を迎える前に、祭場・参拝者全てのものを祓い清める舞。 釜清めともいい、二本の小幣で湯釜を祓い清めた後、小幣を釜の焚口に立て、神酒を注ぐ。
3.御幣招(ごへいまねき)
神招きの神楽で、この神楽場に土地の神・水の神・火の神の三神を迎える舞。 左手に大幣、右手に鈴を持ち神々を迎えると、湯釜の湯を大幣の柄でかきまわす
4.湯上(ゆあげ)
神前に湯釜の湯を献ずる神楽。湯釜に入れた湯笹を社殿の神前に供える。
神前に湯釜の湯を献ずる神楽。湯釜に入れた湯笹を社殿の神前に供える。
[中入れ(小休止)]
神々を神楽場に迎えると、ここからは神々と人々が一緒になって楽しむ(神人享楽)神楽となり演じる神官の服装もややリラックスした服装となる。
5.かき湯(かきゆ)
右手に鈴、左手に御幣を持ち、湯釜に幣を入れ掻き回すと遠心力で渦ができ、その中心の底から小さな泡が浮き上がってくる。これを湯玉・湯花ということから、「湯花神楽」と呼ばれるようになったともいわれている。 また湯玉の状態により、その年の農作物の吉凶を占ったとも言われている。
6.笹の舞または、湯座(ゆくら)
湯笹を湯釜に三度入れた後、湯笹を左右に振り飛び散る湯を「花」とも言い、この湯を受けると今年一年、無病息災で過ごせると言われている。
7.射祓(いはらい)
弓の舞ともいう。小竹で作った弓矢を四方に射ることにより、四方にいる悪しき者たちを射祓い清める舞。 矢は5本のうち4本だけを射て、5本目は正面に向かい射るまねだけをする。 正面には神様が鎮座し、悪しき者がいないからだそうな。
神々を神楽場に迎えると、ここからは神々と人々が一緒になって楽しむ(神人享楽)神楽となり演じる神官の服装もややリラックスした服装となる。

右手に鈴、左手に御幣を持ち、湯釜に幣を入れ掻き回すと遠心力で渦ができ、その中心の底から小さな泡が浮き上がってくる。これを湯玉・湯花ということから、「湯花神楽」と呼ばれるようになったともいわれている。 また湯玉の状態により、その年の農作物の吉凶を占ったとも言われている。
6.笹の舞または、湯座(ゆくら)
湯笹を湯釜に三度入れた後、湯笹を左右に振り飛び散る湯を「花」とも言い、この湯を受けると今年一年、無病息災で過ごせると言われている。
7.射祓(いはらい)
弓の舞ともいう。小竹で作った弓矢を四方に射ることにより、四方にいる悪しき者たちを射祓い清める舞。 矢は5本のうち4本だけを射て、5本目は正面に向かい射るまねだけをする。 正面には神様が鎮座し、悪しき者がいないからだそうな。
8.剣舞・もどき
二人舞で、矛を持ち天狗の面をつけた者と、杓文字を持ち山ノ神の面をつけた者二人で舞う。 道化役の山ノ神が、悪しき者を清め・天下泰平・家内安全を願いながら舞う天狗の舞を邪魔しようとする少しコミカルな舞である。 山ノ神の滑稽な仕草をみて、参拝者が緊張から解放され再び日常へともどっていくところから「もどき」と言われるようである。
最後に、神前に供えたお菓子(本来は餅であったようだ)を、神々からの縁起物として「天狗」と「山ノ神」が参拝者(観客)に撒き、神楽は終了する。
■ 「面掛行列」

「面掛行列」は、神奈川県の無形文化財にも指定されていて、参道から表通りを行列奉行を先頭に、笛、太鼓のはやし連、天狗の面をかぶり高下駄を履いた道案内の神様・猿田彦命(さるだひこのみこと)、白い幟旗(のぼりばた)をかつぐ白装束の少年達、獅子頭(ししがしら)をかつぐ人、そして十種類の怪奇な面をつけた人達、宝刀、沓(くつ)等の御神宝を持った少年達、楽師、黒えぼしに狩衣姿(かりぎぬすがた)の宮司や神官、菅笠(すげがさ)をかぶり裃姿(かみしもすがた)の供の人々、子供から大人まで百メートル以上にもなる列の最後尾に白装束の若者達にかつがれた(?)神輿が続く。

一行は、前の八人が、爺(じい)・鬼(おに)・異形(いぎょう)・鼻長(はななが)・烏天狗(からすてんぐ)・翁(おきな)・火吹男(ひふきお)・福禄寿(ふくろくじゅ)と言われている面をつけ、そろいの頭巾(ずきん)に赤い袴(はかま)、黒っぽい着物に赤や金の美しい模様の袖なしの羽織姿(はおりすがた)で、その後に、おかめ・女の面をつけた女装(にょそう)姿の二人が続く。
おかめは、妊娠している格好で腹を大きくふくらませて両手でかかえながら歩き、その後を産婆役(さんばやく)ともいわれている女の面をつけた人が、扇でおかめをあおいだり、その大きな腹をなでたりおどけたかっこうをして、見物人を笑わせながら続いていく。
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爺(じい) |
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烏天狗 |
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異形(いぎょう) |
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福禄寿 |
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翁(おきな) |
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火吹男(ひふきお) |
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おかめ |
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産婆役 |
かつては、「非人面行列」(非人:元来,被差別民をさす用語ではなく、近世の封建的身分体制が確立してくるなかで、社会の下層民とか、一部の職業従事者に対する差別用語として使われるようになった。)とか、「孕(はら)みっと行列」とも呼ばれ、その昔この辺りの村に源頼朝が寵愛(ちょうあい)していた娘がいて、娘は妊娠し、その一族が勢力を持つようになり、頼朝が外出するときはいつも傍に仕えて警護役をつとめていたが、身分が卑しいので顔を見られないように面をかけたのが、この行列の始まりだとも伝えられているがさだかではない。
かつて鎌倉・鶴岡八幡宮の祭礼で行われていた行列の中に、面掛け十人というのがあったとも言われ、現在使われている面は、もともと鶴岡八幡宮にあったもので、明治維新後に何らかの理由で御霊神社に移されたものではないかとも言われている。
かつて鎌倉・鶴岡八幡宮の祭礼で行われていた行列の中に、面掛け十人というのがあったとも言われ、現在使われている面は、もともと鶴岡八幡宮にあったもので、明治維新後に何らかの理由で御霊神社に移されたものではないかとも言われている。

そして鎌倉という土地柄から、頼朝とその子を宿した村娘の伝説が生まれたのかもしれない。 これらの面をかぶる人たちは、かつては特定の家柄の人に限られていたようだが、現在では町内の世話役のご老人達がしているそうだ。
御霊神社を出発した行列が、坂の下地区の極楽寺坂までの通りを一巡して、再び神社へと戻ってきたところで、この祭も終わりとなる。
神社の境内にある大イチョウの葉が、秋風にゆれるたびに銀杏の実がポトン、ポトンと落ちてくるのを見て、「ああ、今年の夏もそろそろ終わりだな~」と感じつつ家路に着く。
神社の境内にある大イチョウの葉が、秋風にゆれるたびに銀杏の実がポトン、ポトンと落ちてくるのを見て、「ああ、今年の夏もそろそろ終わりだな~」と感じつつ家路に着く。
■ 参考メモ
・ 名 称 : 御霊神社 例祭 / 「鎌倉神楽」
「面掛(めんかけ)行列」 (神奈川県無形文化財指定)
・ 期 間 : 9月18日
・ 場 所 : 鎌倉市坂ノ下 御霊神社境内および坂ノ下地区
・ 交 通 : 江ノ電・長谷駅より徒歩約10分
「面掛(めんかけ)行列」 (神奈川県無形文化財指定)
・ 期 間 : 9月18日
・ 場 所 : 鎌倉市坂ノ下 御霊神社境内および坂ノ下地区
・ 交 通 : 江ノ電・長谷駅より徒歩約10分
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